BOX 〜 BOX POPS

杉真理と松尾清憲を中心とした4人組のBOX、そのデビュー・アルバムである「BOX POPS」。
88年のリリース当時は、アコースティック系のアーティストやワールド・ミュージック的な音楽が勢いを見せていて、おまけにあの忌わしい?CDへの転換期だった、そんな時代。
その頃の私は、エルヴィス・コステロ、ニック・ロウ、スクイーズ、XTCなどの英国ポップものに興味があった頃で、雑誌のレビューに『ビートルズやブリティッシュ・ポップのエッセンス満ち溢れるポップアルバム』うんぬんとあったこの作品を、早速購入・・・ではなく、レンタルしてみた。(のちに購入)
ちなみにその頃は私もCD化の勢いに負けて?仕方なくCDラジカセを購入していたが、調子の悪かったレコードプレイヤーと比べ、ダビングのし易さ(だけ)は抜群のCDラジカセだった。
そのレンタルしたBOXのファースト・アルバム「BOX POPS」。
『Drive My Car』などを思い出させる1曲目から素晴らしい!ビートルズとその周辺のアーティストへの愛あるオマージュ溢れる作品だった。
軽快な「Train To The Heaven」、「ヒットメーカーの悲劇」。サイケ・ポップな「アルタミラの洞窟」。シングルカットされた「風のBad Girl」。『The End』を思わせる「What Time?」。そしてスケールの大きな「"2010"」でアルバムは幕を閉じる。個人的なベストは「人生はコーンフレーク」、最高!
確かに今聞くと80年代的なサウンドが気になる部分も若干あるが、そんなのは問題ないくらい素敵なポップ・アルバムに仕上がっている。
ちなみにこの作品まではぎりぎりアナログ盤でリリースされていた。(次作はアナログ盤リリースは無し)


最初は「杉真理ぃ?松尾清憲ぃ?所詮売れ筋のニュー・ミュージック野郎だろ!」(偏見)と思っていたが(彼等の諸作は未聴故)、間違いだったと気付く。本屋か露店にある著作権おかまい無しの「○○ベスト20」的?なジャケットのまずさもその要因だったのだろうか?
彼等はこの後、さらにブリティッシュ・ポップの深いところへ根ざしたセカンドアルバム「Journey To Your Heart」をリリースしていて(いきなりパイロット!)もちろんこちらも必聴、ジャケは相変わらず今ひとつだけど。
現在はリマスターされ二作で一枚にされたものが発売されているのでお買得、以前のCDも中古であれば買いやすい値段だと思う。
(なお、この2in1のCD。ただでさえ今ひとつのジャケがよけいに・・・次回の再々発売時には、一枚づつに戻し、ボーナス・トラックなどプラスしてのリリースをお願いしたいものです。)

ところで、こんなに素敵なビートルズやブリティッシュ・ポップを感じさせる作品を私は今まで、一回も人に紹介できずにいた。というか聴いていることすら言わずにいた。
その原因はこの作品の2曲目の「魅惑の君」、その途中の"Hepburn"Talking〜とあるヘップバーンの声優さんによる語り部分。これが当時から現在に至るまで何回聞いてもちょっと気恥ずかしい思いのする部分で、いつも「なんとかならなかったのかな〜」と思ってしまうのだ。
たとえば、ヘップバーンの声を映画の部分より使うとか、権利関係でまずいのなら、いっそそれ風な外人さんの語りにするとか・・・まぁメンバーにいわせると「日本語ってのがお洒落でしょ」らしいので、諦めますが。
しかし、そんな小さい部分を気にせずとも、これは十分に素敵な「ビートルズの遺伝子」満載の、誤解を恐れずいうと「THE RUTLES〜ラトルズ」や「UTOPIA / DEFACE THE MUSIC」に匹敵する(と個人的には思っているが、言い過ぎか?)ポップ・アルバムなので、もちろん必聴です!

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