チビとの思い出 〜ひよこ

何歳の頃だったか忘れたが、チビを散歩していた時のことだった。

いつもの河川敷の公園で遊んでいたのだが、
草むらや汚い場所へ行きたがるチビの綱を引っ張って行かせないように踏ん張りながら散歩しているのを、その日はなぜか、チビにまかせて行きたいところへ行かせていた。

するとやはりその公園の川沿いの草むらへ向っていった。
(やっぱり草むらかよ〜、ちぇっ)
そんな僕の気持ちもおかまいなしにチビは草むらを十分に堪能し、さらにそこを突っ切って川沿いへ向って行った。
(ま、まさか・・・?)
と僕の嫌な予感は当たり、チビは川に浸かり泳いだりして遊び始めた。
最初は綱を持つ手をのばし遊ばせていたのだが、このままだと靴も濡れるはめになるので、ついに綱をいつもの散歩よろしく引っ張り始めた。
そうするとチビも諦めて上陸、体をブルブルッと震わせ僕に予想外の被害を浴びせ川遊びを終えた。

そのあと、そのまま川沿いを進んでいた時だった。

先のほうにどこかで見たような、上にふたをかぶせた、高さ数十センチの台形型の段ボール箱が置いてあるのが見えた。
ここまま進むとチビがその段ボール箱を散らかして大変なことになると思い、独自の綱さばき?でチビの気を草むら側に向かせながら歩みを進めた。

そして、その段ボール箱の真横に差し掛かった時だった。

何の気なしに上にかぶせてある段ボールのふたを取って、僕は驚愕した!
中には夥しい数の、干涸び黒ずんだ、言うにたえない状態になったひよこの亡骸が入っていたのだ。

「うわっ!・・・なんてこった!」

すぐチビに引っ張られたので愕然としたまま、その場から離れたのでその段ボール箱のその後はわからない。
しかし・・・その見覚えのある段ボール箱が、祭りの夜店で売られていたひよこの入っていた段ボール箱ということはわかったのだが・・・

いったいどういうつもりなんだろう?

今考えると、単純に売れ残ったひよこを人目のつきにくい川沿いに捨て処分したということなんだが・・・たしかに祭りの会場から近い場所だし・・・
まぁ、そういう人たちがそれほどジェントルな感じの人たちじゃないというのも想像できるし、ああいう生き物じゃなくとも売れ残ったものの処分も想像できる。
しかし、実際にそれを見てしまうと、他の生き物、金魚や亀もそこらに・・・

いや、もうそんな輩の所行はどうでもいい。
そんなことを言ったらペットショップとか動物を扱う人たちに対しいろいろ突っ込みどころ満載だし、切りが無い。

結局、言いたいのはこういうことなんだ。

「僕が見るようなところに置いて行くなよ!」



「またなんかあったの?」

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