10円玉3枚・・・
ロックや河合奈保子に目覚める前の自分の興味の中心は、もっぱらマンガだった。
当時はありがたいことに、普通の街の書店でコミックが読めたから、
ある夏休みの1日なんて、半日も入り浸っているという、なんとも迷惑なことをしていたこともあった。
もちろんそれだけじゃなく、友人から読ませてもらったり、
自分でも、少ない小遣いをやりくりして、コミックや雑誌を買ったりしていた。
そんな少ない小遣いで買っていた月刊雑誌が二つあって、
一つは今も健在で人気だろう「コロコロコミック」。
これは記憶が確かなら、運良く創刊号から買っていた覚えがある。
大好きな藤子不二雄作品が沢山載っていたし、それ以外のマンガも楽しめて、なんとも大好きだったなぁ・・・
もう一つは、上記「コロコロコミック」とどっちが先なのか?
同時に買っていたのか?どうなのか?今となってはわからないけど、
それでも、確かそれも創刊号から買っていたような覚えがある。
その雑誌は「どっかんV(ヴイ)」。
名前の「どっかん」がひらがなだったか、カタカナだったか、それさえも定かじゃないし、
なんともマイナーな雑誌だと思われるかもしれないけど、
これもおぼろな記憶だと当時は、「野球とマンガの月刊誌、どっかんV(ヴイ)」、
なんて感じに、テレビでCMもされていた、と思うけど・・・
これには、意外に大物マンガ家が数多く執筆されていて、
記憶が確かなら、赤塚不二夫氏や吉森みき男氏も書いていた、と思うけど・・・
まぁ、それら雑誌の当時の内容なんて、もう既に30数年も経過しているから、
おぼろもおぼろ、記憶違いなんかも多々あるだろう。
でも、その雑誌、特に「どっかんV(ヴイ)」に関して、30数年も経った今でも決して忘れられない出来事がある・・・
いつものように楽しく読んでいた「どっかんV(ヴイ)」だったけど、
ある時、次号からタイトルも内容も一新され、まったく別の雑誌になるとあった。
え〜、まじかよ・・・嫌だなぁ・・・
なんて思っていたけど、それでも新たな雑誌がどんなものになるのか、気になることは気になっていた。
そんな新たな雑誌の(タイトルさえ忘れたけど)発売日に、いつも買っていた本屋に赴いた。
そこは、近所の駅前にある、小さい本屋と、たこ焼きや大判焼きなんかを扱った店が左右に隣接していた、
駅の中にある訳じゃないのに、当時は「キオスク」と読んでいた本屋。
そこでその新しい雑誌を買った。
そして、急いで家に帰って読んだけど・・・
おぼろな記憶だと、なんとも大人っぽい内容に感じられて、
面白くないなぁ・・・と思った。
そんな風に思いながら読んでいたら、本の途中で、最初の方で既に登場済みのマンガが、
急に途中から登場した。
これは?
さらにそのマンガが終わると、既に読んでいたように、その次のマンガが続いて、
結局、内容の半分近くが重複している状態になっていたのだ。
これは・・・たださえ面白くないのに、不良品かよ!
と、多分に小学生の中学年くらいだった自分は、急いでその駅前の本屋に行って、
店にいたパートかバイトらしきおばちゃんに説明した。
すると、何を血迷ったか、そのおばちゃんはこんな風に言った。
「あら、御免なさいね、これで許してね♪」。
そして、10円玉を3枚、手渡した・・・
そうなると、当時の自分は残念なことに、それ以上何も言えずに、その不良品の雑誌と、
10円玉3枚を握りしめ、その本屋を後にした。
しかし、いったいどういうことなんだろうね?
その買ったばかりの雑誌を交換するのは何か都合が悪かったのだろうか?
もしくは、その不良品を受け取り、返金するっていうのも案配が悪かったのだろうか?
まぁ、その30円で諦めて、何も言えなかった自分も自分だけど、
なにしろ、弱虫の小学生の子供だから、無理もないことだろう。
もちろんその新雑誌に関しては、好みの内容じゃなかったし、
そんなことがあったから、それ以来買わなかったけど・・・
多分にそれからその雑誌の名前を聴くこともなかったから、しばらくするとなくなったんじゃ・・・なんて思うけど。
ちなみにその地元にあった「キオスク」はしばらくすると確実になくなるんだけどね・・・♪
なんとググったら創刊号の表紙が!でも・・・全然記憶にないね♪
もどる