ハワイの思い出
もう随分前になるけど、以前の勤め先の社員旅行でハワイに行ったことがあった。
最初はハワイはおろか、社員旅行自体、なんで行くの?面倒だよなぁ・・・
なんて思い、さらに自分が泳げないのを棚に上げて「俺がハワイで何するんだよ!」
なんて宣う始末・・・それでも実際行ってみたらその素晴らしさに感動♪
いやぁ、これはここにいるだけでもいい、そんな場所だな♪
なんて思う次第。
そんな素晴らしいハワイでのある出来事。
ある時、英語が堪能な先輩からこんなことを言われた。
「へどろん、今晩ハード・ロック・カフェに行くかい?」
おお!ハワイのハード・ロック・カフェ!そりゃ行きたいに決まってる。
「行きたいっす!」と、二つ返事でその誘いを受けた。
その晩、待ち合わせ場所のホテルのロビーに行くと、その先輩や同僚数名がいた。
「それじゃ行くか」とホテルの入り口に向かうとそこには豪華なリムジンが停まっていた。
それは先輩が手配してくれたもので「スゲーなぁ・・・」と皆興奮しながら、
その豪華な乗り物に乗り込みハード・ロック・カフェに向かった。
ハード・ロック・カフェに到着すると、店内にはどでかいBGMが鳴り響き、
薄暗いからよくわからなかったけど、あまり日本人はいない感じだった。
そこで各自飲み物を注文するんだけど、店員は当然外人さん。
しかもアクション映画に出てくるアジア系の悪人って趣の、
長髪に細くのびたあご髭、鋭い目つきの男だったから、かなり緊張。
こりゃ、スマートに注文しなくちゃ!と、それでもカウンター後方に「Budweiser」と記してあったから、
その店員に向かってそれ風に「バドワイザー♪」と注文。
店員のくせに?険しい表情のまま頷き、無事ビールをゲット出来た。
ああ、これでやれやれだな・・・ん?
あとはビールを飲みながらハード・ロック・カフェを満喫しようと思ったら、同僚がいつまで経っても来ない。
振り返るとその悪人面の店員を長々とやり取りをしている。
なにやってるんだろうなぁ・・・と思いビール片手にそこに近付いた。
すると「クアーズ、クアーズだよ!ク・ア・ー・ズ!わかんないの?」と執拗にクアーズを注文していた。
しかし、カウンター後方にはちゃんと「Coors」と記してあるにも関わらず、
その凶悪人面の店員はまるで
「あ?なに言ってんだ?ワカラネーよ!英語話せよ!ったく困ったアジア人だな。ワカラネーんだよ!おいっ!」
と言わんばかりの表情と手ぶりで友人を見つめていた。
もうバドワイザーでいいじゃねぇかよ、そんなにクアーズがいいのか?
なんて思うも、友人はそれでも平然と顔色変えずにクアーズと繰り返し言い続けた。
そんな何回目かのクアーズ・コールの時、その極悪人面の店員が「…Coors Light?」と反応、
即友人は言葉が通じた喜びを表情に出し頷きながら「そう、クアーズ!」と言い、無事クアーズをゲット出来た。
そんな、ハード・ロック・カフェもリムジンも悪人面の店員もかすむハワイの夜の思い出・・・
それはクアーズに固執した友人の度胸だったけど・・・しかし、なぜそんなにクアーズが・・・♪
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