被害者が加害者?

ちょうどこんな季節の出来事だったと思う。

大学2年の自分は、ここにも記した自転車に乗り込み、

安アパートから飛び出した。

今と違って、若い頃は途轍もなく朝に弱かったから、

多分にそのせいで、急いでいたんだと思う。

アパートから狭い路地に出て、そのまま数十メートル直進すると、

少し広めの道に出るから、そこで左折して行くのだけど、

もう急いでいたから、その時はスピードを気持ち緩めたくらいで、ほとんど止まらないでそのまま左折した。

すると、そこに運悪く、ちょうど車が右側から来て、

左折している自分の右側にぶつかり、そのまま自転車ごと倒れた。

こう記すると「危ない!」って思われるかもしれないけど、

その時の自分は「急いで駅へ行かなきゃ!」って思いの方が大きく、

車から駆け降りてきた、狼狽した表情のサラリーマン風の男の多分に様々な問いかけをあしらって、

車にぶつかった衝撃を一手に引き受けてくれた自転車の歪みを、

強引に、力技で直して、すぐさま駅へと向かった。

まぁ、結局運良く打ちどころがよかったから、そんな風に出来たんだと思うけど、

もし打ち所が悪かったら・・・

例えば自転車だけじゃなく、右足にもぶつかっていたら・・・

いや、最悪身体にもぶつかっていたら・・・

そんな風に思うと、自転車の歪みだけで済んだっていう、なんとも運のいい結果だった。

そして、今そのサラリーマンくらいの年齢、立場になって思うのは、

もしそんな風な加害者になったら・・・

彼同様に狼狽著しいことだと思うし、その被害者がいくら大丈夫だと言っても、

そのまま行かしていいのか?なんて思ったりする。

だって、後で身体の不調を訴えられたりしたら・・・ん?

そんな風に思うと、そのまま行かせた彼の判断もいいものかと・・・

って、やっぱり悪いのはちゃんと停止しないで、なおかつその場から勝手にすぐさま立ち去った俺なんだろうけどさ♪






ラッキーだったよね、俺も彼も…♪

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