KALEIDOSCOPE 〜カレイドスコープ(from UK)

当初、サイドキックス(THE SIDEKICKS)、ザ・キー(THE KEY)などという名で活動していたカレイドスコープ(KALEIDOSCOPE)はピーター・ダルトレイ(Peter Daltrey)、エディ・パーマー(Eddie Pumer)、スティーヴ・クラーク(Steve Clark)、ダン・ブリッジマン(Dan Bridgman)からなる4人組。
66年末に「Flight from Ashiya」を聴いたフォンタナと、新人としては破格ともいえるアルバム製作込みでの契約を交わす。そして67年シングル「Flight from Ashiya」、続いてファースト・アルバム『Tangerine Dream』をリリース。 翌68年には「A Dream for Julie」と「Jenny Artichoke」の二枚のシングル、69年にはシングル「Do It Again for Jeffrey」、続いてセカンド・アルバム『Faintly Blowing』リリースするも、素晴らしい内容、フォンタナ、メンバーの期待とはうらはらにセールスは散々たるもの・・・そして、5枚目のシングル「Balloon」リリース後フォンタナと決別することになる。

ただでさえ高いUKオリジナル盤、セールス的に散々だった彼等の作品はかなりの激レアプライスがついているもよう。 おまけに(リプロ・ブート除く)唯一のアナログ再発盤もなかなかの人気で、最近はあまり見かけず値段も上がってきているようです。下がその再発アナログ盤(5HOURS BACKレーベルよりのもの。入手に苦労しました、再発なのに!?)。
  
内容はどちらも素晴らしく、ドラッグをあまり感じさせない彼等のサイケ・ポップは、素晴らしい楽曲に時代の音への実験が結びついたサイケデリック・エラの傑作。
『Tangerine Dream』のほうは、呪文のようにコミカルにバンド名を繰り返すA1、ライトショーなどのサイケなライブハウスが似合いそうなA3、ファースト・シングルのA5、ビートバンド期を思わせるB3、美しくスーケルの大きいラストナンバー「The Sky Children」などを含む、この時代の作品に限定しなくても十二分に名盤。ジャケットはラバー・ソウル風か?

そしてセカンド『Faintly Blowing』はファーストよりプログレっぽくなったとかいわれるが、個人的にはあまりそういう感じはしない。
当時ライブの定番曲らしかったA1、美しく幻想的なA2、どこかトラッド風なA4、のちのフェアフィールド時代を思わせる美しいA6、繊細なアコースティック曲B2、胸躍る大好きなB3、そして圧巻のラストナンバー「Music」・・・美しく幻想的なジャケットも素晴らしい、これも文句無しの傑作。
プログレっぽいといわれるのはリヴァーヴ・エコーなどのサウンド効果などのせいか?またサイケ・エラとプログレなど混沌とした音と時代の挟間にリリースされたことも要因の一つと思われる。

70年になると、彼等はバンド名をフェアフィールド・パーラー(FAIRFIELD PARLOUR)と改名、レーベルもヴァーティゴに移籍し、心機一転シングル「Bordeaux Rose」のリリースを皮切りに、シングル「Just Another Day」、そしてアルバム『From Home To Home』をリリースする。
前2作にくらべ若干英国フォークっぽさとストリングスが多めになった作品だがカレイドスコープの2作に続くサード・アルバムと考えて問題は無いもの。
その後、映画「小さな目撃者」のテーマ「Eye Witness」やワイト島フェスティバルのテーマ「Let the World Wash In」をリリースするなど、実際バンドはこの時期一番充実していたようだ。

下はその頃のシングル曲などをボーナストラックとして盛り込んだ、ゲットバックよりの2枚組アナログ再発盤。
少し前にエアー・メイル・レコーディングより紙ジャケ仕様でCDが再発されているし、輸入盤CDも何種類かあるようなので、これは比較的入手し易いと思う。
     

そして次に彼等は「エンジェル」という女性の悲劇的な人生をテーマにした、二枚組でブックレットまでつける予定でいたアルバム『White-Faced Lady』を製作するも、リリースのオファーを出した担当者がすでにいなくなっていたRCAからはリリースも移籍もできず、かといってヴァーティゴにも戻れす、残念ながら彼等は解散という道を選ぶのだった、と同時にアルバム『White-Faced Lady』も長い間封印されることになる。

ロックの歴史上よくある、お蔵入りの作品。
しかし彼等のこの傑作は、なんと約20年の歳月を経て91年に自らのレーベル「Kaleidoscope」より日の目を見ることになる。
二枚組でブックレット付き(実際には付かなかった)のコンセプトアルバム・・・ザ・フーの『トミー』やプリティーズの『S.F.ソロウ』などにインスパイアされたのは間違いないと思われる(ピーター・ダルトレイはやんわり否定しているが)このアルバム、壮大で雄大、かつ繊細で穏やかな一大音楽絵巻物?というべき彼等独自の素晴らしいものに仕上がっている。

その後、ジャケット違いで何度かCD化されているし、上記の『From Home To Home』と同様にエアー・メイル・レコーディングより紙ジャケ仕様でCDが発売されている。
下はその元になった、91年「Kaleidoscope」レーベルよりの二枚組アナログ盤。これも現在はあまり見かけないような感じです。
     

実質、数枚のシングルとアルバム4枚の彼等の作品、どれも素晴らしいのでお勧め致します。
そして嬉しいことに夏にカレイドスコープの2作品が紙ジャケ仕様にてリリースされるらしいので、『From Home To Home』と『White-Faced Lady』同様、入手し易くなります。
その2作品が発売されたらまた改めて紹介したいと思います。また90年代中期よりソロ活動をしているピーター・ダルトレイのソロ作なども入手した際には紹介したいと思っております・・・多分ですが。

最後に、一昨年イギリスのサークル・レコーズ(CIRCLE RECORDS LIMITED)よりリリースされたBBCセッション集を掲載しときます。
音質が今ひとつのものがあったり、DJの声がかぶっていたりと、内容は熱心なマニア向けな感じですが、ナンバリング入りアナログ重量盤二枚組でカラー・ブックレット付き!おまけにレーベルデザインもなんちゃってフォンタナ風で(もう一枚はパッと見ヴァーティゴ風!)物的には充分なものです。
  


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