愛は地球を救う?

また、テレビや新聞等で「24時間テレビ」に関する話題が出始める時期になった。
今回で29回目を迎えるらしいその番組について、ここであれこれ述べるつもりはないが、正直以前の嫌悪感などを通り越して最近じゃ、もはやどうでも良いと感じている次第。
しかし、そんなどうでも良いはずの番組について、私には忘れられない出来事がある。
それは番組が始まって間もない頃の、私が小学生だった頃の出来事である。

その番組開始当初は、翌朝の手塚治虫のアニメーションなどもそうだが、なにより夜更かしがそこそこ出来る夏休みにテレビが24時間連続で放送しているというそれだけでも、興味がたっぷりあった頃、今から見れば信じられないほど熱心にチャンネルをあわせていた。
そして、その番組内ではチャリティと銘打った募金をつのる活動が全国各地で行われていた。
どこそこの街角で、またどこそこの商店の店先で・・・それが我が町のスーパーの前でもやっているという事を知り、なにを血迷ったか!?私は家の茶の間にあった小銭が詰まったガラス瓶をそこに持っていき寄付したいなどと言い出した。(なんてこった!)
よほどその番組が好きで少しでも参加したかったか、もしくはひょっとしたらテレビに映るかもしれない(映らないです)期待感があったのか、今ではよくわからない。
しかし、そんなバカ息子の気が○ったかのようなお願いを両親が聞いてくれたおかげで、翌日ガラス瓶をもって募金会場へ向うことが出来た。

その日は、夏休みだから当然だが、随分暑い、晴れた日だった。
自転車に乗り10分ほどのところにあるスーパーに到着した私は、意気揚々とガラス瓶を募金会場に寄付し、そこそこの充実感は得れたので帰宅しようと思ったが、予想よりあっけなく終わったと感じたので、そのスーパーの2階部分にある本屋でマンガでも立ち読みして帰ろうと思った。
小一時間くらいだろうか、立ち読みを終え帰ろうと、自転車置き場に向った。
・・・???
いくら探しても私が乗ってきた、買ってもらってまだ10日ほどしか経っていない自転車が見当たらないのである。
どうしよう・・・下半身から力が抜けていき、目の前が霞んでくるような状態だったが、必至に何回も何回も自転車置き場を探した。
しかし見つからない。スーパーの人に聞いたりとか、警察に問い合わせたとかは今となっては覚えていないが、結局自転車は見つからず家に向うことになった。
暑い夏の、夕刻に向って更に増してくるようなアスファルト上の熱気に包まれながら、とぼとぼとうなだれながら帰ったことと、その街のぼんやりとした風景だけは今でもよく覚えている。

原因ははっきりしている。鍵のかけ忘れである。
もちろん私のミスである。しかし、ものは小学生の自転車である。犯人は小学生なのだろうか?それならその家族はその自転車についてどう思ったのだろうか?
もしくは犯人は大人なのか?今と違って売り飛ばすことも容易ではなかっただろうに・・・ともかく、この時期「24時間テレビ」の話題が出ると、20数年前の暑い街の風景と熱気を思い出すのである、いまだに・・・

あの番組は「愛は地球を救う」と銘打っている。
あの番組のいう愛が、地球を救えるのか否かは30回近くやっても答えが出ていないよう?だが、少なくとも悲しみと切なさと悔しさにまみれたあの小学生の頃の私の気持ち、今も残る私のこの気持ちを救うことはできないだろう、これからもきっと・・・

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