謎の名物男?
もう随分前だから、ほとんど朧げな記憶の中から、その頃の光景や雰囲気を思い出している。
自分は小学生で、回りには10数名の同じ歳と思しき仲間がいた。
でも、知らない者も混ざっていたと思う。
場所は、町の繁華街にほど近いところに今もある、大きめの寺院で、
そこには幼稚園も併設されいて、大きめの寺院のせいか?遊具もかなりいろんなものがあった。
だからか?友人以外にも、近所の同じ歳の頃の小学生が集まり、遊んでいたんだろう。
寺院の中を、回りを、特に決まった遊びをする訳でもなく、走り回ったり、はしゃいだり、遊具で遊んだりしていた。
いい天気のある日、そんな場所で遊んでいた自分達のそばに、一人の男が近付いてきた。
それは、今思うと、どう考えても、見た目は浮浪者そのもので、
だらしなく羽織ったよれよれのコートに、不潔な感じの長髪、
顔には髭が、それこそ顔半分下を覆っていた。
でも、なぜか記憶の中で彼は、その辺りの名物男のような感じで、
自分達小学生に混ざって、遊んでいた、というより、自分達を追いかけ回して遊んでいた。
それが普通のことであるように・・・
境内の狭い通路を、彼が迫り来るから、隅にみんなで逃げて、
追いつめられると、彼の隅をすり抜ける。
しかし、やはり狭い境内だから、結局全員逃げられる訳はなく、
そんなことの繰り返しの中で何人かは彼に捕まり、恐怖の洗礼を受けていた。
それは、彼の髭で顔をジョリジョリとこすられるというもので、
残念ながら、自分も一回もやられたことがある。
もう気持ち悪くて・・・捕まった女の子なんて、泣いていたと記憶している。
そんな幼い頃の記憶を思い出したある時、これをここまでお読みの皆様同様にこんなことを思った。
その自分達とその男が遊んでいた光景、それは今なら速攻通報されるものなんじゃないだろうか?
お寺の境内に小学生達を追い込み捕まえ、顔をこすりつけて喜んでいる浮浪者と思しきもの・・・
なんともいい時代・・・だったのかな?
こんな場所でした♪
もどる