類は友を呼ぶ?
大学に入って、少し経ったある春の日のこと。
世田谷にある別のキャンパスで、僕が入ったサークルの全体での顔合わせがあった。
講義が終わってから世田谷に向かい、それからその顔合わせがあったので、終わったのが確か8時か9時くらいになっていた。
顔合わせが終わった、その薄暗くて、だだっ広い教室で、僕等は知り合ったばかりの同窓の友と、
これからのサークル活動について、期待に満ちあふれた心持ちで語りあっていた。
そんな時、そこで知り合った一人が僕にこう言ってきた。
「俺の家遠いから、今日泊めてくんない?」
実家だとあばら屋極まりないので、友人を泊めることは難しいけど、
同じあばら屋でも気ままな一人暮らしのアパート。
狭く汚くてもいいなら、と返事した。
皆と逆方向の電車に40分ほど揺られ、さらに駅から10数分かけて薄暗い商店街を抜けて、僕らはおんぼろアパートについた。
狭く汚く薄暗い部屋に入り、いろいろな話をした。
サークルのこと、講義のこと、高校生の頃のこと、好きなもののこと、
それから数日前に行われた入学式のこと。
そこで、僕は入学式でのちょっとした失敗談を話した。
すると、そいつはこう言った。
「それ俺だよ」
マジかよ・・・
その日は、とても晴れたいい天気で、僕は同郷の友と二人で、
世田谷のキャンパスで行われる入学式へ向かうべく、高級そうな住宅街を歩いていた。
これから始まる大学生活、それがいよいよ始まる。
やはり期待に胸膨らませていた僕ら。
しかし、その気持ちがなんだか妙な気分になってきた。
それは、恐らく自分達と同じであろう入学式に向かう学生を見ているとどんどん強くなってきた。
なぜか?
それはズバリ、服装。
周りの皆はスーツを着ていたけど、自分はGジャンにジーパン。
友人は黒のトレーナーにジーパン。
なんだ?みんなバシっと決めちゃってよ・・・
なんて思っていたけど、その妙な不安は会場に入ってさらに膨らんだ。
なんと会場のほとんどがスーツなのである! あたりまえ?
これにはホントにたまらなくて、僕等二人は早く終わってくれ、と祈るばかりだった。
そんな辛く長い針のむしろのような時間がようやく終わって、やれやれと僕らは出口に向かった。
すると、向こうの出口の方に、真っ赤なスタジャンを羽織った男が見えた。
僕らは顔を見合わせ、俺たちだけじゃなかった、と幾分ほっとしながら、
それでもそそくさと会場を後にした。
自分達も随分場違いな格好だったけど、それでも真っ赤なスタジャンで行く度胸、その眩しく派手な格好たるや、なんとも驚きの光景だった。
しかし、なにより驚きだったのは、それから数日後の夜、その男と二人で自分のアパートに居たということ。
それが何より驚きな出来事・・・いや出会いではないだろうか?
これは類は友を呼ぶ・・・で、いいのかな?
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