THE STAIRS 〜ザ・ステアーズ

90年代前半、私好みのギターバンドが数多く名作を残してくれた。そのなかでも個人的にはCreation Recordsと同じくらい素敵だったGo!Discs(のちに閉鎖)はザ・ラーズ、ザ・ハウスマーティンズ、ポール・ウェラー、トラッシュ・キャン・シナトラズなどなど素晴らしいバンドの素晴らしい作品を数多くリリースしてくれていた。それらのバンドは現在も人気があり確立されたところもあって、ファンのHPなどもよく見かける。
そんななかで私がここで紹介するのはザ・ステアーズ。
彼等は91年、Go! Discsよりシングル「Weed Bus」でデビュー。メンバーはギターのゲッド・リン。ドラムのポール・マグワイヤ。そしてヴォーカル、ベースでメイン・ソングライターであるエドガー・サマータイム。セカンド・シングル「Woman Gone And Say Goodbye」までのジャケットに映っているジェイソンというメンバーもいたがアルバムリリース前に抜け、ファースト・アルバムにはThanks to : Jasonとなっている。ファースト・アルバム『MEXICAN R'N'B』リリース後、シングル「Mary Joanna」、インディーのimaginary Recordsより「Last Time Around」をリリース。その後よくわからんが解散?消滅?したようです。
    

デビュー当時は同郷であり同じく60年代の香りただようザ・ラーズとよく音楽誌にでていたが、現在の人気の差は歴然。ともにデビューアルバム1枚のみ、同じGo!Discsで、片方がニュー・ビートルズ?ならもう片方はローリング・ステアーズ?だったりしたのに・・・現在ザ・ラーズのほうはデビュー・アルバムにボーナス・トラックをたくさん詰め込み、おまけにシングル・コレクションなるものまで発売。輸入盤ではライブ音源を収録したアルバムまで2種類もリリースされているのに・・・
そんな人気のあるザ・ラーズにくらべザ・ステアーズの作品は国内盤ではCD1枚のみでボーナストラックはなし(しかも現在廃盤!)・・・厳密に言うと英アナログ盤にシングル「Weed Bus」収録でアルバム未収の3曲が追加されたものが国内盤CD(英CDも同じ)、当方未入手の米CDはそれとは別の3曲を外し曲順を変えてWeed Busを頭にもってきている。(国内盤CDにクレジットされて最初と最後にある「INTRO」と「OUTRO」のクレジットがケースにないがどうなんだろう?)米アナログ盤(あるのか?)は不明で情報を希望いたします。そんな彼等の全作品はアルバム1枚とシングル4枚。未聴だがリヴァプールのバンドを集めたコンピ盤にも1曲提供してるもようだが他にもあるのだろうか・・・
そのコンピ盤の曲は不明だが、ザ・ステアーズの4枚のシングルにはアルバム同様魅力的なアルバム未収録曲が収録されている。7インチ盤は未入手だが収録曲は同じか1、2曲少ないと思われ、12インチ盤とCDシングル(これも未入手)は同じく4曲収録されている。
ファースト・シングルの「Weed Bus」収録の4曲はすべて国内盤CDに収録済。
続く「Woman Gone And Say Goodbye」にはタイトル曲のほかの'You Don't Love Me(you don't care)'と'Russian Spy And I'と'Yes It Is It's True'の3曲がアルバム未収録。その中ではハーモニカの絡むイントロやエドガーのワイルドなヴォーカルがかっこいいカバー曲'You Don't Love Me(you don't care)'とシンプルでアコースティックなサウンドにエドガーのヴォーカルが加わるとまるでストーンズの'As Tears Go By'を思わせる'Yes It Is It's True'が素晴らしい。
サード・シングルの「Mary Joanna」もタイトル曲のほかの'Mad Song'と'I Can Only Give You Everything'と'Squashed Tomato Stomp'の3曲がアルバム未収録。なかでも、エドガーはやっぱりミック・ジャガーよりヴァン・モリソンっぽいと思っていたせいか?の'I Can Only Give You Everything'。また所有の12インチ盤に収録(多分CDシングル、7インチ盤も同じだと思うが)のタイトル曲はエディット?いやミックス違い?のようで、歌の繰り返しが一回多いために?ラスト付近がチト違うもの。
そして「Last TIme Around」にはタイトル曲と'No One Knows'と'Mr Joke Shop Owner'と'I Won't Be Back Again'の4曲がそれぞれアルバムには未収録となっている。ポップなゲット・リン作の'Mr Joke Shop Owner'も良いが、この中ではやはりタイトル曲で決まりだろう。東京での録音になるこのDELVETTSなるグループのカバー曲、爆発する最高にビー トの効いた強烈ナンバー!文句なしである。
    

ぜひ、CD再発売の際にはこれらの未収録ナンバーを(全部!)追加収録して欲しいものだ。いや、音楽やロックを愛するなら追加して当然、するべきだろう。
しかし、ジャケットは'mono'の表記や'EMITEX'のパロディ?など含め、どれもかっこいいのに、肝心のアルバムの表のジャケットはどうなんだろ?(個人的にはOKだが)
同時に、90年代なのにモノラル録音なもんだから、そんなことばかりボンクラメディアに取り上げられるしまつ。
おまけに、手もとにある「ク○スビート」誌の92年11月号掲載のインタビューではインタビュアーの60年代とかレトロ志向とかっていう質問にエドガーも読んでいる私もうんざり・・・せっかく見開き2ぺージの掲載なのに・・・アルバム1枚で消えた要因にはこんな感じでのメディアの扱われかたも関係あるのかもしれない。
純粋にかっこいいロックと捉えて、オールドロック、ブリティッシュロック好きや若いロック・キッズなどにも愛されて欲しかった。そう、ザ・ラーズのように・・・そうすれば、そのインタビューでエドガーが述べている幻の「セカンド・アルバム」!!もリリースされたかもしれないのに。
改めて、全作品を聞き、インタビュー等を読んで、私がここで勝手に妄想すると、その幻の「セカンド・アルバム」は'Mr Window Pane'のような路線をさらに押し進めた、60年代UKサイケデリア風(リヴォルヴァー風?)なナンバーを多く含んだアルバム、または現代の『Nuggets』?みたいな雑多でワイルドなガレージ・サウンドを押し進めるアルバムになったんじゃないだろうか?・・・などと、勝手な妄想は無限に広がるくらいに、一作での解散はつくづく残念というべきだろう。
そして、時は流れて(数年前のことですが)、意外なところからエドガーの名前が聞こえて来た。
なんと、ポール・ウェラーのツアーメンバーとしての参加、来日というものだった。
嗚呼、エドガーよ、私はザ・ステアーズとしての復活を待っていたのに・・・残念。
しかし、その後のツアーメンバーに名前がないとの情報を見て、また密やかな期待が・・・
現在は60年代の影響色濃いバンドが多く評価も上々らしい?ので、ボンクラメディアも当時のような"キワモノ"扱いは(そんなに?)しないだろからね。


つづく

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