都会は恐ろしい・・・
多分、学生時代最初の、いや受験に次ぐ二度目の上京時のことだったと思う。
場所は新宿駅南口。
なぜそこか?っていうと、最寄り駅が小田急線沿線だったため。
だから、うろうろしていた自分だけど、そんな右も左もわからないような、
この田舎者を、都会の恐怖が襲ってきた。
それは、最近はないんだろうけど、その当時・・・それこそいまから20年以上前にはよくあった、
映画のチケットを売り付ける輩、その魔の手が俺に襲いかかった!
晴れたいい天気の都会の人混みの中で、その輩は俺を捕まえて、熱っぽく話し出した。
曰く、小遣いのほんの一部で、とか、
曰く、とてもお得な映画のチケットが、とか、
曰く、あなたにだけ特別に、とかとか・・・
そんな輩の勢いに圧倒されている俺に、その輩はさらに俺に手持ちのお金の額を聞いてきた。
そのチケットを買わせるべく・・・
しかし、その頃の自分はもともと小遣いは少ないし、その時の手持ちも微々たるものだった。
するとそれまで熱っぽく話していた輩のテンションが急に下がり、
なんだか、その俺の所有額に同情したのか?急に解放してくれた・・・
ラッキーだったのか、その輩が甘かったのか?そんな時代だったのか?今となってはよくわからない。
なんせ、いまから20年以上前の話・・・
それから20年以上経った、少し前の上京時に、その時のことを思わせる光景を目にした。
場所は同じ新宿駅ではなく、西武新宿駅付近。
あの頃の自分同様・・・いや、それより純朴そうで、さえない田舎者っぽい若者が、たちの悪そうな輩に捕まっていた。
それほどよく確認しなくても、何かの怪しい勧誘の類いであることは、その輩のセンスの悪い服装や気色ばんだ表情から伺えた。
「俺の頃とは違うなぁ・・・」
なんて、その青年にほんのちょっとだけ同情しながら通り過ぎようとしたときだった。
その青年の背後に、輩の仲間であろう二人の男が、青年を見つめているのが見えた。
位置関係的には輩を三角形とした、その中心に青年がいる、という感じ。
「こりゃマズイんじゃないの?」なんて思い、なんとか出来ないのかな?なんて思ったりもしたけど、結局なんとも出来ずに・・・
その後に、その青年がなにを売り付けられ?どうなったのか?は、わからない。
ただ、その酷い光景を見て、20年以上前に感じ得なかった思いがその時、ようやく心に湧いた。
「ああ、都会は恐ろしい・・・」と・・・
画像は勝手に拝借しました♪
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