ホワイトハウスか中学生か

ある日、友人と車を走らせていた。
その日は新潟の秋にしては珍しく暖かく晴れたいい天気。

どこ行くあてもなかったけど、ふと思いついた場所があった。

それは、同乗の友人がまだ行ったことのなかった場所。
そして、友人が興味を抱くだろうと思った場所。

その場所とは、地元ではすでに語り尽くされた感のあるオカルトめいたスポット、通称「ホワイトハウス」なる場所である。
まぁ簡単にいえば、廃墟についていろいろな噂がどんどん膨らんできて、心霊スポットになったような場所である。
その全国ネットのテレビなどでも取り上げられた場所に、友人は行ったことがないというので行ってみることにした。

目的のホワイトハウスは海水浴場の脇より200メートルくらいの、簡単に行けるところにある。
早速海水浴場到着後、隅に車を止め、海とは逆の道伝いに歩き始めた・・・その時だった!
同種のジャージを身にまとった中学生らしき5〜6名ほどが、集まってこちらを不穏そうな表情で見つめていたのだ。

(なんだ?こっちを見ているぞ・・・)
(なんか因縁でもふっかけられたらどうしよう・・・)
(金貸せよ、おっさん!とか言われたらどうしよう・・・)

しかし、何も言われず僕らはそのまま目的地に向って歩き始めた。
いい天気の中、以前一度来たことがある僕は余裕の面持ちで歩いていた。

その時、背後から「どこ行くんすか?」という声が聞こえた。
ドキッ!として声の主を見るとそこにはあの中学生軍団が!

(なんだろう・・・)

「いや、その奥の方へ・・・」と僕。
「なんかあるんすか?」と中学生の一人。
「え?その心霊スポット的な場所へ・・・」と僕。

そこまでは少しビビっていた僕だったが、次の中学生のリアクションでホッとした。
僕に話しかけていた、物怖じしない感じの一人がまわりの仲間に向って、「ほ〜らっ!やっぱあるんだよ!」「行こうぜ!大丈夫だよ!」などと言ったのである。

結局、彼等も僕ら同様ホワイトハウスに興味があり、行ってみたかったのである。

それから、僕らと彼等の総勢7〜8名でホワイトハウスへ向うことになった。

途中にある落書きだらけのトンネルというか、国道下をくぐる道を通り、
「人来まくってるじゃん」などという彼らの声を聞きながら、しばし歩くと来ました!

鬱蒼とした木々のなかにぼんやりと浮かんだ、雰囲気バッチリのホワイトハウスが!


早速近付く彼等、その中でもガンガン中に向うのもいれば少しビビっているのもいたりしたが、結局オカルト云々より木々とクモの巣などが凄くて中に入るまでは行かなかった。
そして、僕はそこそこ近付いたり、記念にホワイトハウスの外観写真を撮ったりしていた。

そんな感じにしていると、見るところが無くなったのかもう飽きたのか、彼等は来た道を戻り始めた。
僕らも同じように戻り始め、全然恐く感じなかったホワイトハウス観戦を終えることにしたのだった。

ホントに恐くなかったのかだって?

ホントです。恐かったのは本心がわかるまでの中学生のほうでした。(ごめんよBoys)
そして、そんなオカルトや幽霊の類いより、僕は人間の方を恐いと感じる人間でした。

もどる

inserted by FC2 system