口裂け女対策?その2

相変わらず僕らの中じゃ口裂け女が大きな存在になっていた、

そんな、確か赤べこに裏切られた翌日か翌々日のこと。

いつもの薄暗い帰り道の途中、

O君が「赤べこはダメだったけど、こんなものはどう?」

と言い、ランドセルの中からあるものを取り出した。

それは石ころをくつひもで結んだような、なんだかよくわからないものだった。

「なに?それ」

と聞くと、O君はニヤリと微笑み、

石ころを結んだくつひもの逆側を掴み、

カウボーイよろしく、石ころを振り回し始めた。

ヒュンヒュンヒュンヒュン・・・

何をするんだろう、と思ったその刹那、

O君が腕を振り下ろした。

バッシィッ!

すると、道ばたに生い茂っていた雑草の類いが、

真剣で一刀両断したかのように、パラパラと地面に落ちた。

「おお!スゲー!」と言うと、O君はこう言った。

「これで口裂け女が来たら攻撃するんだ!」と。

赤べこじゃダメだ、と逃げ出した人物とは思えないような、

そんな頼もしさを目の前の友に感じていると、

O君はさらにランドセルの中からもう一つ同じその武器を出して、

僕に手渡した。

「二人掛かりなら負ける訳ないさ」と言いながら。

その原始的で頼りないルックスの武器を同じように振り回し、

雑草目がけて力強く振り下ろすと同じように雑草が地面に落ちていった。

これは凄いと、二人でそのひもを振り回し、雑草に攻撃しながら、

その口裂け女撃退の武器の力強さを確かめた。

これなら、口裂け女が来ても問題ないな、と二人で思いながら、

さらに武器を振り回し、雑草を攻撃した何回目かの時だった、

「スポッ、ヒューン・・・」

急に手元が軽くなった、と思ったらさらにO君のほうからも、

「スポッ、カツンカツンカツン・・・・」

という音が聞こえた。

どうした?なにが起きた?と思いながら持っていたひもの先を見ると、

結んであった石ころがはずれてどこかへ飛んでいった。

途端に強力な口裂け女撃退の武器を失ったO君は、

「やっぱりこれもダメだ!」と叫ぶと、すぐさま赤べこの時と同じように走り出した。

そうなると、やはり僕も同じように「待ってよ!」と言いながらO君のあとを追いかけていった。

そんな僕らを悩ませた口裂け女対策だったけど、

これに次ぐ更なるアイテムが登場することはなかった。

そう、やはり都市伝説、気が付くとあれだけ僕らの中で大きかったその存在が、

いつのまにか話題にもならなくなったから。





今思うとO君の次なるアイテムっていうのも、どんなものだったのか?

ちょっと気になるけど・・・♪

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