Peter Astor 〜ピーター・アスター

初期のCREATION RECORDS(以下CREATION)でTHE LOFTを率いたピーター・アスター(PETER ASTOR)。
アラン・マッギーより「天才」と称された彼は、その後THE WEATHER PROPHETSで同レーベルや(CREATIONとWEA共同の)ELEVATIONなどで素晴らしい作品の数々を残すも89年頃活動停止。
そして90年CREATIONよりソロ・デビュー。アルバム『SUBMARINE』をリリースする。

  

一聴して清々しいサウンドが耳に入ってくる。アコースティックギターのカッティング、控えめなエレクトロニクス、そして何よりもここには素晴らしき名曲の数々が入っている。A2、3、5、B2、3、4、などなど・・・もちろんそれら以外のナンバーも素晴らしい。
アナログ初回盤にはA5とB3のインスト収録の7インチ盤がついている。インストといってもただ歌を抜いただけじゃない素敵な仕上がり。ちなみにジャケット、レーベルのデザインも素晴らしい。

     

また、アルバムからA2(タイトル曲は別ヴァージョン)とB5が12インチにてシングル発売されているが、それぞれに同アルバム収録曲の素晴らしいアコースティック・ヴァージョンが3曲づつ収録されていて、先のインスト曲、別ヴァージョンの「Walk Into The Wind」ともどもCDにはボーナス・トラックとして収録すべき!

  

翌91年にセカンド・アルバム『ZOO』をリリース。
前作のラスト・ナンバー「Chevron」のように最初は取っ付きにくい感のある楽曲が冒頭を連ねるが、それもポップなA5の前までか。前作より落ち着いた、ちょっと夜を感じさせる?このアルバム、サウンドは前作よりシンプル。パーカッションやピアノ、シンセで味付けしたくらいで、聞けば聞く程ぐっとくる個性の強い曲が多く、気が付けば最初感じた取っ付きにくさが愛着さへと。

  

その後、フランスのレーベルDANCETERIAに移籍しPETER ASTOR & THE HOLY ROAD名儀で『PARADISE』をリリース。
一聴して軽やかで爽やかなサウンドが聴こえてくる。聴き進むと前作のよう落ち着いた楽曲もあるが、特筆すべきはラストナンバーである素晴らしきタイトルトラック。闇や靄や霧やすべての障害が晴れて、光が差し込んだようなその楽曲は個人的には彼の代表作の一つ。全体的にはファーストとセカンドの中間的なサウンドの作品か?。

この作品からはA1がシングルとしてリリース。バンド時代のリメイク含む4曲入りだが、当方は未所有(探求盤・・・)。

  

そして同レーベルから個人名義にて『GOD & OTHER STORIES』をリリース。
ここからアナログのリリースがなくなる。内容は前三枚の集大成的なサウンドか?いや、この吹っ切れた感じはバンド時代に近い感じかな?。
途中に粋なインストを配置したこの素晴らしい作品は素晴らしい楽曲の数々を含むもの。特に最初5曲は素晴らしい。

     

この作品からはTrack 4がシングルとしてリリース。
ジョナサン・リッチマンのカバー曲含むこのシングルもアルバムと同様にジャケットの写真の状態は酷く残念なもの。
やれやれなんでこんなフランスのレーベルに所属しているんだろう、田舎者にゃ手に入れにくいし・・・などと思っていたらはDANCETERIが倒産!

ここからピーターの長い沈黙が始まる・・・ちょうどその頃、私のようにピーターの新譜を待ち望む人たちが作った『ピーさん通信』なる素晴らしいファン・ジンと出会う。
私が知らなかったいろいろな情報をそこから得るものの、ピーターの活動再開については不明な部分が多く、コンピュータを使ってデモ・テープを作成している等といった情報くらいのものだった。
自分自身で得れる情報と言えば音楽誌の輸入盤のコーナーのチェックや上京した際にレコード屋のピーターのコーナーのチェックをするくらいな状態、ただただじっと待つだけだった。

そして、時が流れて、ある時ピーターがすでに活動を再開していることを知る。

  

ついにピーター・アスターの復活である!
しかし、その情報によるとどうやらピーター・アスターのピの字もない、変名による活動。その『THE WISDOM OF HARRY』や『ELLIS ISLAND SOUND』の全作品を聴き揃えたわけではないが、そこには随分と変化したピーターの新たな音楽があった。
しかし、そんな音楽家としての野心溢れる音への冒険の中に於いても、ふとした部分に現れる、ピーターならではのメロディやヴォーカル。待っていて良かったと思う。
そして、どんなにサウンドが変化しても私の興味を捉えてはなさない『アーティスト』なんだと改めて思う次第だった。

※ソロ以前の活動はリンクさせてもらっている "こちら" のサイトを御覧ください。

つづく

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